ブラフレイが誇る文武両道の超新星。王子様然としたルックスからは想像もつかないが、汗と涙を情熱で煮染めた熱苦しい魂を内に秘めた大食漢、それが吉村という男である。幾たびの挫折を経てようやく掴み取ったグローブ空手の頂点。

しかしそんな肩書きがプロの世界では何の役にも立たないことは自身が一番よく知っている。そこでプロの世界に足を踏み入れるにあたりストイックに心を鍛えるために、心機一転家を出て一人で生きて行くことを選んだ。これまでのように何も考えずに戦っていては決して勝ちなど見えてこないプロの試合、人より身体が小さい分何倍も頭を使って戦わなければならない。

日々の生活、学業、それらキック以外の経験も全てを活かして己を高めんとするのである。バックボーンとする空手スタイルに師匠直伝のキック技術を加え、天性の格闘センスはいよいよ花開こうとしている。手始めに狙うのは兄貴分と慕う伊仙町兄弟が届かなかった、RISEルーキーズカップの獲得だ。神戸港初、世界行き。プロへの挑戦は、今始まったばかりである。